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【小学生の学習塾】いつから始めるべき?目的別の適切な開始時期
更新日:2022/10/26 公開日:2020/02/13
小学生の子どもがいると、塾に通わせ始める時期に関して迷うこともあるのではないでしょうか。中学校に進学してからで大丈夫だと思っていても、周りの同学年の子どもが通い始めると、どうするのが正解か悩んでしまう親も多いです。そこで今回は、小学生が塾に通う必要性を紹介し、通うケースにおける適切な開始時期についても説明します。
1.小学生の塾通いの実態
小学生の塾通いの状況について、周囲の家庭の情報だけでなく、全国的な傾向も知っておくと参考になるでしょう。文部科学省が行った学習に関する調査では、公立と私立の小学校とで異なる傾向が出ています。公立の小学校の子どもが塾に通っている割合は約4割であったのに対し、私立の場合は約7割という結果になりました。また、習い事に関する費用の観点からも異なる傾向が見られ、公立では30~50%ほどの子どもに塾通いの支出が生じています。学年によって違いがあり、1年生は3~4人に1人の割合で発生し、6年生ではほぼ半数に生じているのが実情です。それに対して、私立は50~80%ほどであり、1年生の段階からすでに半数に支出が発生しています。
以上の結果から、早いタイミングで塾通いを始める割合は、私立の小学校に通っている子どものほうが高いと分かるでしょう。その違いを生み出している要因としては、中学受験に対する意識の強さの違いなどが挙げられます。
2.小学校から塾に行くべきか
世の中の傾向を把握しておくことは大切ですが、多数派に合わせるのが最適な選択とは限りません。なぜなら、塾に通わせている人にはそれぞれ目的があるからです。具体的な目的としては、中学受験に向けての対策や小学校の授業の補足などがあります。何のために通うのか検討することで、塾の必要性に対する判断は変わってくるでしょう。特に目的が思い浮かばないのであれば、まだ塾に魅力を感じられないことも多く、その段階で通わせるのが必ずしも適切とはいえません。
たとえば、子どもが小学校の低学年の間は不要だと認識している親もたくさんいます。将来的に中学受験をするにしてもまだ先の話ですし、小学校の授業の難易度もまだ低いので、塾に通わなくても問題ないと感じやすいからです。低学年の間はスポーツ系や芸術系などの習い事を選び、学年が上がるにつれて、状況を見ながら塾に切り替えていく方針の家庭も見受けられます。
3.塾に通う目的は?
子どもを塾に通わせる目的は家庭によってさまざまです。塾通いの必要性や開始時期に関して検討する際、どのようなケースがあるのか知っておくと参考になるでしょう。以下に紹介するのは、塾に通う目的のなかで代表的なものです。
3-1.中学受験
中学受験を見据えている家庭の場合、塾に通わせるのが一般的となっています。小学校の授業だけなら、家庭内での学習だけで十分に対応できるという人もいるでしょう。しかし、中学受験では、小学校のカリキュラムをこなすだけでは正解できない問題が出されることも多いです。もちろん、志望校の難易度によって変わりますが、親の指導のみに頼った勉強法だと、本番の試験に対応しきれない恐れがあります。また、中学受験は学校や年度によって傾向が違うので、家庭でそこまで考慮して教えるのは簡単ではありません。一方、塾であれば、中学受験の傾向をしっかりと分析したうえで、小学校のカリキュラム以外の内容も指導してくれます。
ただし、周辺に適切な塾がない場合などは、他の手段で中学受験を目指す人もいます。たとえば、家庭教師に教えてもらったり、通信教育を利用したりするケースは珍しくありません。それらを塾と併用するケースもあるなど、立地や学力などの要因によって、具体的な受験対策のスタイルは家庭ごとに異なっています。
3-2.勉強の習慣をつける
親が勉強するように言っても、それを聞き入れる子どもばかりではありません。勉強する習慣がないまま大きくなってしまうと、高校受験や大学受験などに影響が出ることもあるでしょう。そのため、小学生のうちから塾に通わせることで、勉強の習慣をつけさせようと考える親もいます。家には、テレビや玩具など、子どもにとって魅力的なものが多いため、なかなか勉強に集中できないことも多いです。塾は学習に特化した環境なので、勉強に打ち込む時間を強制的に作りだせます。ただし、最初からそのような明確な目的を掲げているのではなく、漠然と勉強時間を増やしたいと思って通わせ始めるケースも少なくありません。
いずれにせよ、子どもが嫌がっている場合、無理やり塾に通わせるのは良くない判断です。勉強に苦手意識や嫌悪感を持たせてしまうリスクがあるため、しっかりコミュニケーションをとって、子どもの気持ちを確認しておくことが重要です。
3-3.中学の進学準備
中学校に進学すると、どの教科も勉強する範囲が一気に広くなります。小学校との違いに戸惑う子どもも多く、スタートの段階で授業についていけなくなる場合もあるのです。最初にそのような事態になると、なかなか挽回できずに苦労することもあるでしょう。そのリスクを減らすため、中学校に進学する事前準備として、入学が近づくと通わせ始めるケースが多く見られます。
まず、小学校の復習において重要なのは算数と国語です。中学校の授業は、小学校で習う公式や漢字などは十分に頭に入っているという前提で進んでいきます。また小学6年生のお子様には、中学英語の先取り学習もおすすめです。中学英語では「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能に加え、1600語~1800語の英単語の習得が必要と言われています。中学入学までにレベル差がつきやすい英語を得意教科にすることで万全のスタートを切ることができます。
しっかりと小学校の復習と中学校の予習をすることで、つまずきの対策になるだけでなく、中学入学後の最初のテストから高得点を狙うことが可能となります。
3-4.小学校の授業の補足
小学校の授業といえども、内容が難しくて困っている子どももいます。授業が分からないと、成績が下がってくるのはもちろんですし、自分に自信を持てない心境にもなりやすいです。デリケートな成長期にそのような状況になるのは良くありません。しかし、授業についていけない子どもがいても、小学校の先生は十分にサポートできない場合があります。多くの生徒がいますし、学校行事の準備などもあるため、一人ひとりの学習進捗まで考慮して対応していくのは難しいからです。それを補う手段としても塾は広く活用されています。
さらに、学習の意欲が向上することも塾に通うメリットの一つです。小学校のクラスとはまた違った集団のなかで勉強することになり、同学年の子どもたちから大いに刺激を受けることになります。競争意識が芽生えて学習面で努力や工夫をするようになると、小学校の授業にもついていきやすくなるでしょう。
4.塾に通わせる時期は?
塾通いの目的はさまざまなので、「いつから塾に通うべきか」という疑問に対して、万人に共通する正解はありません。ただし、目的を限定した場合は、一般的に好ましいとされているタイミングは存在します。たとえば、中学受験の対策を目的としているなら、3年生の2月から通うのが得策です。なぜなら、たいていの塾は、その頃から中学受験を見据えたカリキュラムを組むからです。少し前から通って、そのカリキュラムが始まるまでに、塾に慣れておくという手もあります。
小学校の授業の補足が目的なら、すぐにでも通わせるのが理想です。一度でもついていけなくなると、次第に遅れが広がっていく恐れがあります。分からないことに慣れてしまって、ついていけないのが当たり前という状態になりかねません。そのようなリスクを回避したいなら、親が家庭学習でフォローすることも大事ですが、遅れが広がる前に塾に通わせたほうが良いでしょう。
5.塾の種類
一口に塾といってもいろいろな種類があり、指導方針などの特徴もさまざまです。大きく4つのタイプに分けられるので、以下にそれぞれを詳しく紹介していきます。
5-1.進学塾
中学受験の対策を実施している塾は、進学塾と呼ばれています。カリキュラムに大きな特徴があり、小学校の授業に合わせるのではなく、入試を起点として逆算した計画が立てられているのです。そのため、小学校の授業よりも進学塾のほうが、授業はずっと速いペースで進行していくのが一般的となっています。たとえば、小学校の5年生で習う範囲は、進学塾では4年生の2月頃から習い始めることが多いです。このように、いわゆる先取り学習が基本的なスタンスなので、入塾前に小学校の授業内容はしっかり理解しておきたいところです。
ただし、進学塾に通っているのは、そのような優秀な子どもばかりではありません。実際には、学力にばらつきが多いため、成績別にクラスを編成しているところも多く見受けられます。入塾が可能な学力を持っているか確認するために、テストを行っているケースもあるため、通うことを検討する際には問い合わせておきましょう。
5-2.補習塾
補習塾は、学校で習う内容の理解を助けてくれる塾です。そのため、次々とカリキュラムをこなすのではなく、学校の授業のペースや内容に合わせて、しっかりとフォローしてくれます。また、テスト前になると、良い点数を取れるように対策をしてくれるのも特徴の一つです。テストの傾向を把握しており、それを考慮したうえで効果的な指導を行ってくれます。そのため、学校の授業についていけいない子どもや、テストが苦手な子どもにとって非常に頼もしい存在です。
頼もしさという点では、サポートが充実していることも大きく関係しています。進学塾よりも一人ひとりに対して手厚く教えてくれますし、分からない点を気楽に質問できる雰囲気がつくられています。そのため、楽しく学べることも多く、勉強の習慣をつけたい場合などにもうってつけです。
5-3.総合学習塾
進学塾と補習塾の特徴を兼ね備えている塾もあります。総合学習塾と呼ばれており、幅広い指導を行っているのが大きな特徴です。たとえば、学校の定期テストが近づくとその対策に専念し、それ以外の時期は受験対策を重点的に行っているところもあります。個別指導方式で要望に合わせて受験対策と補習を切り替えたり、受験対策クラスと補習クラスの両方を設けていたりするパターンも多いです。
このように、指導のバリエーションが豊かであるため、いろいろな目的の生徒が集まってきます。学校の成績を上げつつ、受験も視野に入れた勉強がしたいなど、複数の目的を持っている場合にもぴったりです。そのため、多くの生徒に選ばれやすく、塾の規模も大きい傾向が見受けられます。ただし、方針が進学塾と補習塾のどちらかに寄っている場合もあるので、事前に確かめておくことが大切です。
5-4.専門塾
専門塾は一般的な塾とは異なり、国語専門や算数専門など特定の教科だけを指導します。塾長しか先生がいないところや、わずかなスタッフで運営しているところなど、規模は小さいのが一般的です。全教科を教えている塾と違って生徒数がそれほど多くないこともあり、集団指導でもマンツーマンに近い濃密な授業を受けられます。個別指導のスタイルで運営しているところもありますが、いずれにせよ先生との距離感が近いため、質問や相談をしやすいことが生徒にとって大きなメリットです。
特定の分野が苦手な場合は専門塾に通うことも視野に入れましょう。読解問題を解くスピードが遅いなど、弱点が明確な場合は、教科を絞って集中的に克服すると、平均点が一気に上がることも珍しくありません。
6.小学校の塾はどれくらいかかるの?
いつから塾に通わせるのか検討するにあたり、費用の相場を把握しておくことも重要です。塾通いをスタートさせても、そのせいで家計が圧迫されると、早々にしてやめざるを得ないかもしれません。無理なく通い続けられることを確認したうえで決めるようにしましょう。小学生が通う塾の費用相場は、塾の種類や科目数などによって差が大きいです。たとえば、中学受験のために進学塾に通う場合、年間30~60万円ほどの費用がかかります。一方、学校の授業内容のフォローのために補習塾に通う場合、年間の費用は10~20万円ほどです。
都心部の塾は土地代が高いなど、相場に影響を与える要因はたくさんあるため、上記の金額の範囲に当てはまらない塾も多いでしょう。したがって、あくまでも目安として捉えておくことが大切です。また、費用だけを意識するのではなく、カリキュラムなどもしっかり確認したうえで、最適と思われる塾を選びましょう。
7.まずは塾に通う目的から考えよう
子どもを塾に通わせ始めるタイミングに正解はないため、目的に合わせて考えることが重要です。その目的は、子どもと共有できる内容でなければなりません。たとえば、子どもに中学受験をさせたいなら、子どもに進路の希望を確認することが必要になります。塾に通うかどうか検討する際は、親が自分本位に判断しないように気を付け、子どもとしっかり相談したうえで決めましょう。
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執筆者:スクールIE コラム編集部
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